おかあちゃん

いつも見守ってくれてありがとね。
昨日は母の日。僕は定番カーネーション、弟夫妻はひまわりやカサブランカで豪華に。

この間テレビで『東京タワー』やってましたね。僕にはちょっとリアルすぎるのでそれまで観てなかったのですが、丁度夕飯と重なり思わず観てしまいました。
いや〜シンクロしましたね。いろんなことが思い出されて非常に辛かった...。

抗がん剤の副作用はホント辛かったね〜。でも止めた後の激痛も辛かったよね。
何もしてあげられず看護婦さんに任せっきりで外の廊下で耳をふさぎうずくまる自分が情けなかった。
映画では病院の窓から観た季節はずれの雪に対して、こちらは季節はずれの夕立があがった時に出た見事な虹。あなたはなぜだかそれを見ようとはしませんでした。
モルヒネの影響で突拍子もないことを口にしたのは、いきなり『フランス行きたい...』ってあなたは言い出しましたね。一度も行ったことないし興味もなかったのにね。不思議でした。『退院したら一緒に行こうね』って言ってあげたら嬉しい表情をしてくれたよね。
亡くなったその日、映画の主人公は締め切りの原稿を一度は断った。けど気を取り直しちゃんと仕事をした。そうでなくっちゃ！この日僕もFERMAILのライブで最期を看取れなかった。でも何事もなくちゃんと演奏しましたよ。プロとしてどんなことがあっても任されたことはやらなきゃいけない。それが僕の流儀。
喪主の挨拶は泣かずにしっかりやったつもりです。家に戻って２人っきりになったとき子供のように大泣きしましたが...。

映画ではオカンを東京に連れてきていろんな所連れて行ってあげて親孝行をしてあげられたこと。うらやましいです。こちらは病院の診断ミスでガンの転移が発見され即入院、一度も外出できずどこにも行けなかったよね。ごめんね〜。

そしてあなたは最後まで生きようとしていたね...。
だからもちろん手紙もないし遺言なんていうものもない。
いろんなこと聞きたかったのにわからないことがたくさんあります。



あなたがそうであったようにこれからも好きなことをつらぬいて生きてゆきます。
どうぞ見守っていてくださいね。
僕もあなたと同じくらいの歳で天に召されるとしたら、あと２５年後
笑顔の再会が出来るようにがんばるから！　
わからなかったこともその時教えてね。　　　おかあちゃん。